アート系トーク番組 art air の日記

アート・美術・幼児造形などについて

授業研究、実践研究の方法に関する情報(図画工作、美術科教育等を中心に)

保育学や教科教育学においては、授業研究や実践研究という言葉をよく耳にする。
これらの研究は、研究の内容をさしているのだろうか?それとも研究の方法を指しているのだろうか?

結論からいうと、授業研究や実践研究は、研究対象を指した言葉であると思われる。つまりある授業を対象にした研究、ある実践を対象にした研究という具合である。

だから授業実践または実践研究は、内容によっては理論研究にも、実証研究にも成りうるし、方法によっては質的研究や量的研究を採用することもあるだろうということである。

たとえば授業実践を質的研究により丁寧に解明しながら、くりかえし授業実践を重ねて、ある仮説を生成する方法などがあるが、これなどは質的研究による実態解明型の実証研究を行いながら、そこから得られた明らかになった知見より、新たな仮説を生成する理論研究までを網羅している。このように授業研究、実践研究においては、研究の内容、方法ともに横断的に展開しうることが推察される

う〜〜〜ん、ややこしい!(> <)


以下に、研究の内容と方法の種類の大別表を記しておく。
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【研究の内容】

理論研究・・・仮説構築型 と 仮説検証型  
(理論構築やモデル化をめざす)

実証研究・・・実態解明型 と 実態検証型
(ある事柄から知識の獲得をめざす)

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【研究の方法の一例】

質的研究・・・文章や文字などの質的データの分析から、ある出来事を解明しようとするもの。

量的研究・・・数値や数式を用いて計量的に現象をとらえ、説明しようとするもの。

歴史研究(文献研究)・・・過去の出来事に対し、時期で区分しながら歴史的事実に迫ろうとするもの。

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『美術科教育における授業研究のすすめ方』

新井 哲夫,石賀 直之,大泉 義一,岡 照幸,刑部 育子,郡司 明子,小泉 薫,小池 研二,立川 泰史,名達 英詔,松原 雅俊

美術科教育学会叢書(0)2017年3月



【授業研究と実践研究の方法について論文】

さて、ここからは授業研究や実践研究について述べられた論考などを紹介する。どれも授業研究、実践研究を論文にすることの困難さと、それゆえの整理方法について書かれたものである。


実践研究をどう記述するかー私たちの見たいものと方法の関係 (特集 「実践教育」は何をめざすか)ー、広瀬和佳子、尾関史、鄭京姫、市嶋典子、早稲田日本語教育学 (5-7), 43-68, 2010-05

https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=24932&item_no=1&attribute_id=162&file_no=1

教育心理学における実践研究の動向と課題 石上浩美

http://nwudir.lib.nara-wu.ac.jp/dspace/bitstream/10935/369/1/24_21_19.pdf#search=%27%E6%95%99%E8%82%B2%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6+%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E7%A0%94%E7%A9%B6%27


【アクションリサーチ 保健室と養護教諭の役割を考える】の研究事例

実践と省察を繰り返すことで自己成長していくことをめざす
http://yumenavi.info/lecture.aspx?GNKCD=g000958&OraSeq=308277&ProId=WNA002&SerKbn=Z&SearchMod=8&Page=1&KeyWord=%E6%96%87%E5%8C%96%E3%83%BB%E6%95%99%E9%A4%8A%E5%AD%A6


教育におけるアクション・リサーチのための実践コミュニティの創造と展開

木村優

http://repo.flib.u-fukui.ac.jp/dspace/bitstream/10098/6875/2/AA12470517-05-016.pdf#search=%27%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%BD%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC+%E8%AB%96%E6%96%87+pdf%27


美術科教育における授業研究のすすめ方(美術科教育学会叢書 第0号)2017/03.

https://gyoseki.meijigakuin.ac.jp/mguhp/KgApp?detlId=22&detlUid=ymkygoykggy&detlSeq=351


授業研究の課題と方法
戦後授業研究の歴史検討をふまえて

寺岡英男

http://repo.flib.u-fukui.ac.jp/dspace/bitstream/10098/5443/4/AA12470517-02-014-001.pdf#search=%27%E6%8E%88%E6%A5%AD%E7%A0%94%E7%A9%B6+%E6%96%B9%E6%B3%95%27


美術教育研究の内容と方法
辻 泰秀

http://www.ed.gifu-u.ac.jp/info/kyosi/pdf/8_12.pdf#search=%27%E7%BE%8E%E8%A1%93%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E8%AB%96%E6%96%87%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9+pdf%27



授業研究と教育工学 - ミネルヴァ書房 2012年10月10日

授業研究とは何か

授業改善と教師の力量形成のために行う授業研究を,現在の日本の動向(研究領域の確立,教師の成長,ICTの活用,大学の授業までの広がり,学校改革,国内外の視点からの見直しなど)をふまえて解説。

授業研究と教育工学 (教育工学選書)

授業研究と教育工学 (教育工学選書)

[ここがポイント]
◎ 授業研究の理論と実際を,具体例を交えて紹介
◎ 学校で,学級で授業研究を行う現場の教員にも最適の一冊

[目次]
はしがき

第1章 教育工学としての授業研究
 1.1 授業研究の目的と動向
 1.2 授業研究の方法と特徴
 1.3 授業研究の領域と内容

第2章 授業研究と教師の成長
 2.1 教師の授業力量とその構造
 2.2 教職における授業研究の必然性
   ――反省的実践家としての教師像から
 2.3 授業研究を通じた教師の反省的成長
   ――いくつかの典型的な事例
 2.4 授業研究と教師の成長に関する文化論的考察

第3章 授業研究とメディア教育の交差点
 3.1 「授業の多様性」と「メディア活用の要点」
 3.2 すぐれた実践の事例
   ――選択学習・合科や総合的学習を活かす場
 3.3 交流学習の多様な展開
 3.4 授業の目的・内容・方法のマトリックス
 3.5 授業のもつ深みと困難さ
 3.6 各教科の学習と情報教育,そして『総合的な学習』との相補関係
 3.7 大学の授業を見直してみると
 3.8 今後の展望

第4章 授業研究を通じた学校改革
 4.1 学校研究の意義
   ――専門的な学習共同体としての学校
 4.2 学校研究の企画・運営上の工夫
 4.3 授業研究を通じた学校組織の発展
   ――いくつかの典型事例
 4.4 授業研究を通じた学校改革の課題
   ――リーダーシップの問題

第5章 大学教育改革と授業研究
 5.1 本章の目的と構成
 5.2 大学授業研究の歴史的経緯
 5.3 大学授業改善の支援あるいは大学教員の成長支援の方法論
 5.4 公開授業を中心とした取り組み
 5.5 未来の大学教員を育てる試み
 5.6 ICTを活用した取り組み

第6章 わが国の授業研究の実態と展望
 6.1 全国学力・学習状況調査の「学校質問紙」の回答結果に見る,
   わが国の授業研究の現状
 6.2 国立教育政策研究所の「教員の質の向上に関する調査」の結果に示され る,
   わが国の授業研究・校内研修の現状
 6.3 授業研究のさらなる発展に向けて

第7章 世界における授業研究の普及と展望
 7.1 アメリカやアジアにおける授業研究(レッスン・スタディ)の普及
 7.2 世界授業研究学会(WALS)における研究発表の内容とその特徴
 7.3 世界における授業研究の展望

http://www.minervashobo.co.jp/book/b100592.html