アート系トーク番組 art air の日記

アート・美術・幼児造形などについて

法隆寺

自宅から車で30分ほど行ったところに、法隆寺がある。今までにも自転車でいったり、外人の友達を連れて行ったりと、2、3度行ったことがあるのだが、今回はちょっと趣向がちがった。以前赤瀬川原平さんの書いた日本美術観察隊にのっていた、

赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1

赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1

百済観音像を拝観しようと仏像ねらいで行ったのである。しかもこの春と秋の年二回特別拝観ができる求世観音像も見れるというのである。部屋の掃除をはやばや済ませて、車を走らせた。

 ついてみて、久しぶりの五重塔の美しさにうっとりしつつも、まずは特別拝観の夢殿に向かった。ついてみて人だかりの間から夢殿のなかに目をこらすと、うすぐらく、かろうじて、なんとか求世観音像をみることができた。というのも法隆寺のお堂の中は、ライティングがなく、また防犯のため窓には網が張られており、とにかく見づらいのである。本堂の薬師如来も逆光でまっくらで、なかなか見えず、お寺の人が懐中電灯でお顔を照らしてようやく見えるといった感じだった。
 少し欲求不満になりながら、最後についに百済観音像。こちらは宝物殿に安置されており明かりもよく、背後に回って見ることができた。

 最初の印象は写真で見るよりとても大きく感じた。スラーとしたからだに、周りの衣が上昇感を誘い、何か超越した存在感をたたえている。思わず横や裏側から確認して、それが彫刻であることを意識しなおそうと努めるのだが、細く普通ではない身体のバランスの魅力についつい見とれてしまう。
 少し落ち着いて細部に目がいき、手の美しさ瓶をもっている指と瓶の緊張感、お顔の表面のざらざらしたはるかな時代を感じさせる風合い、深さのある美しさである。
 もういちど全体を見直してみる。背中にある後光の部分に宇宙感を感じ、そこに超越的に存在する超人百済観音像。きっと修行をして解脱し宇宙にまでいくと、このような観音様に会うのだろうなと想像できる感じがした。
 法隆寺百済観音像。興福寺の北円堂で無著像を見ていらいの深い感動をうけた。また、もう一度見に来ようと思い、その場をあとにした。