アート系トーク番組 art air の日記

アート・美術・幼児造形などについて

エッセンシャルペインティング展

年末に、国立国際美術館で開催されていた
「エッセンシャルペインティング」展、とても良かったです。
90年代以降の欧米の絵画の動向を、国際的舞台の最前線で
活躍している13人の画家のグループで構成した作品展でした。


欧米の現代美術の世界では、前衛アーティストによる絵画の抽象性や
還元主義が推し進められて、これ以上は進化することができないほど表現が
切り詰められたため、一時期は絵画の死がささやかれている時代が
ありました。しかし、ここで紹介されているアーティストたちは、
そういった前衛主義や進化していかなけらばいけない絵画観からは、
解放され自由なスタンスをとっています。


彼らは今の時代の社会の夢や欲望や不安を絵画をとおして
新鮮なやりかたで、私たちのまえに立ち上がらせてくれます。
それらはときに具象的であり、ときに抽象的であったりしますが、
そういった二元論からは解放された自由な絵画が実現されいます。


たとえば前衛絵画のなかでは時代遅れの感じがあった物語り性や説話・
神話を現代の共同体の無意識をくみ上げるやり方で復権させたり、
少女(大衆)が抱くロックスターの憧れや思いを、現代的な偶像イコン
にまで昇華させたものがあります。またグローバル化や情報化社会の影響を
受けてデジタル的な手法を取り入れた絵画もありました。


それぞれ独自の表現を獲得している彼らに共通していることは
過去の前衛を消化したうえで、現代の美意識や価値を今感じている
感性(リアリティー)をとおして、目に見える形で表現しようと
努力していることではないでしょうか。