アート系トーク番組 art air の日記

アート・美術・幼児造形などについて

国際展の現場

大阪、中ノ島にある国立国際美術館
10/20に開催されたシンポジウム 
『国際展の現場』に行ってきました。


講師は館長の建畠 晢さん
今年は
イタリアのベニスのビエンナーレ(2年に1回)
ドイツ、カッセルのドクメンタ(5年に1回)
ドイツ、、ミュンスターの彫刻プロジェクト(10年に1回)
が、一同に開催される国際展の当たり年です。


この3つの国際展をまわるツアーを昔の王侯貴族が勉学のために
ヨーロッパ各地をまわって旅した「グランドツアー」に
なぞらえて、グランドツアーパックがたくさん組まれたとか。


さて、肝心のシンポジウムの内容ですが
現在の国際展は、「ジャスト コンテンポラリー」
スーパーパワーキュレター(美術展を企画する人)が世界中を飛び回って
最先端のアートを集め、現代を輪切りにした作品展だそうです。

現代アート入門―「今」に出会う歓び

現代アート入門―「今」に出会う歓び

見に来る人も、すでに評価の定まった巨匠の作品を見にくるのではなく
何か面白い新人はいないかなと好奇心を持って、見に来るそうです。


近代的な世界の矛盾や問題を乗り越えるための模索を
アートを通して追求していく国際展、
それがコンテポラリー(現代性)言われるゆえんでしょうか


美的に知的に分析的に
アートを展開していく国際展ですが
いっぽうでは国家権力や大富豪の後ろ盾が
あって、成立する世界でもあります。


ベニス・ビエンナーレでは市内の宮殿で連日パーティー
催され、石油王やアメリカの財団、Rフェラー、Yダヤ系の画商など
世界中の金持ちが集まる華麗なるセレブ社交界が催されるそうです。


一方、日本で開催されている国際展は
どういったものがあるかご存知でしょうか?


横浜トリエンナーレ(3年に1回)
神戸ビエンナーレ(2年に1回)
越後妻有トリエンナーレ(3年に1回)


などがあります。日本の国際展は海外のそれとは
少し趣が異なるようです。
建畠 晢さんもディレクターを勤めた
日本の現代アートの国際展としては35万人という
たくさんの方が来場した、第一回横浜トリエンナーレでは
いわゆる美的で知的で分析的なアートを期待しに来る
お客さんや大富豪のセレブがたくさん来場したのではなく
基本的にはお祭り気分を味わいにくる方が多かったそうです。


もともと日本では美術展というよりは、祝祭の文化が豊かに発展しており、
欧米ほどは階級社会が厳然としているわけでもなく、
美術の制度を支える大富豪のパトロンもいない国では
アートを都市文化の祝祭として機能し、発展させていくのも
1つのやり方なのかもしれません。


日本美術史学者の辻惟雄さんは日本美術の特徴を
祝祭・遊び・飾りの文化として評価していましたが
これから発展していく日本のアートも
お祭り気分や、遊び心、大衆に愛される飾り
などが必要なのかもしれませんね

日本美術の歴史

日本美術の歴史