アート系トーク番組 art air の日記

アート・美術・幼児造形などについて

災厄時における、アートの役割と力

このたびの東日本大震災におきまして、

被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますと共に、

一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

 毎日、絵が描ける日常のありがたさを改めてかみ締めながら、

これからもアートの時間を大切にしていきたいなと思っております。

皆様にはいつもご協力頂き、誠にありがとうございます。





 さて、このような未曾有の災害を目の当たりにしたとき

アートはどのような役割や機能を人々に

提供することができるのでしょうか?

 掲載の絵は小学生・低学年が4月に描いた、

飛行機の上にお家を作って住むことができる

「想像画」の絵ですが、とても豊かな物語や表現が

力強く描かれていました。





飛行機の家は地震津波に影響を直接受けないため、

ある種の安全地帯として、または避難ポートとして

ユートピア的に表現されていると感じました。

このような子ども達の表現行為を見ると

アートの力の一つに、言葉に筆舌しがたいことが

起こったときに感じる不安や恐れを「表現の物語」や

「色」や「形」に描きかえることで、不安を対象化し、

自身の心の中に受け止め、

安定させていく機能があるということです。





 また一方で強大な敵と戦っている絵もありましたが、

その中で飛行機の上に神社を描いた子がいました。

神聖なものを描くことで外部の敵や不安から結界をはり、

なおかつ災厄など制御不能な強大な力を「祈りの力」で

鎮めようとしていると感じたのは考えすぎでしょうか?





 実は人類の表現の活動の根源は、

このような人知の力を超えたものと対話し、

心の中に引き受ける際に行われる活動が起源になっています。

天災を鎮めるためのオブジェや死者と対話し

安らかに眠ってもらうためのお墓や記念碑などがそれにあたります。

アートのもう一つの力に、超越的なものと対話し

鎮めるための媒介装置としての役割があります。





私たちがこのようなアートの表現活動を通して、

健やかな気持ちになれればいいなと思います。